イタリアで行われた、4Kレース(350km山岳レース)を、日本人初完走した羽鳥選手のレポート
同じイタリア、アオスタ州で開催されるトルデジアンを2回完走し、今回3度目の200マイルレース。トルデジアンとは逆回りの4Kに出場してきました。距離350km、累積標高25000m、制限時間155時間という壮大な旅になります。
グランパラディーソの登山口であるコーニュという村をスタートしアオスタ州を時計周りに回るレース。大きく分けると7つのセクションに分かれた、ノンストップレース。第一セクションはいきなりコース最高峰のロソン峠(3296m)に登り、他3000m級の峠を合計3つ越えていきます。セクションの終わりにはライフベースという大きい休憩所があり、街や村の中にあるので、その分下がって来なければなりません。
第2のライフベース、クールマイヨールはトルデジアンのスタート、ゴール地点であり、UTMBでも通過する街。この街に着いた途端雨が降りました。その後しばらく雨の中を進みましたが、途中で雨もあがり、レース中はこの日だけ雨に降られただけで、暑いぐらいのコンディションでした。クールマイヨールからはUTMBと同じコースを辿り、ボナッティ小屋からはマラトラ峠に向かいます。マラトラを降りると綺麗な虹が。
オッロモントのライフベースを出て第4セクションを迎えると、寝不足が堪えてきます。途中で仮眠を繰り返しながら進みました。今回は前回のトルデジアンでの合計睡眠の倍の時間寝ている事になります。体力的にも歳なのかと・・・
第5セクションはレース上一番短い距離のセクションです。とはいっても2500mほどの峠を2つ越えていきます。
第6セクションが一番堪えました。グレッソネイというライフベースを出てから次に仮眠が取れるのが30km先。グレッソネイでも3時間ほど休んだのですが、やはり途中でフラフラになり、エイドの人に「医者必要か?」と聞かれてしまいました。もちろん、根性で進み、やっと仮眠が取れるモンテ・マルス小屋に着きました。ライフベース以外の仮眠が取れる小屋などでは滞在時間が2時間までと決まっており、起こされてしまいます。
最後のライフベース、ドンナスでもしっかり仮眠し、ゴールの時間を計算して出発しようかと思いました。制限時間まではかなり余裕があるので、ここで10時間ぐらい寝ようかとも思いましたが、早く帰ってふかふかのベッドで寝たいのと、今出発すれば日本人1番でゴールできると思い、夜中のゴールになってしまいますが、早めに出発しました。
最後のセクションは47kmほどですが、2827mの峠まで30kmかけて登り、その後ゴールのコーニュまで17kmの距離を下るというコース。途中で眠くなり岩陰で寝てみましたが寝られず、山小屋で休憩を取り、最後の峠を越えました。
最後の山小屋を後にゴールまでなだらかに下っていきます。
コーニュに戻ってきました。ゴールゲートが近づいてきた時、トルデジアンの時にも思いましたが、やっと終わるという気持ちと、終わってしまうという気持ちが溢れてきます。やっとの思いで辿りついた350km。あんなに大変だったのに、やっぱり景色の壮大さや、スタッフやボランティアの暖かさなど、いい事を中心にしか思い出しません。きっとまた挑戦したくなってしまうのかなと・・・
いろいろな方の協力があって今回出発し、レースを楽しめ、帰国できました。感謝を忘れずこれからもトレイルでのアクティビティを楽しんで行きたいと思います。
ありがとうございました!Grazie! Grazie! Ciao!